元ドラ1の苦悩 中日で「どん底に落ちていた」鈴木博志、現役ドラフト移籍も未登板

昨オフの現役ドラフトで中日からオリックスに移籍した鈴木博志投手（27歳）は、まだ1軍登板の機会を得ていないが、新天地で「強いボール」で活路を見いだそうとしている。「逃げるような、かわすピッチングではなく、どんどん攻めていきたい」と意欲を見せる。

鈴木は磐田東高からヤマハを経て、2017年のドラフト1位で中日に入団。プロ1年目の2018年にはセットアッパーとしてチーム最多の53試合に登板し、2年目には守護神に抜擢され14セーブを記録した。しかし、その後は伸び悩み、昨オフにオリックスへ移籍することになった。

新天地でのチャンスを前向きに捉え、潜在能力を引き出してくれるオリックスで自分を変えようとした鈴木。ストレートの強さが戻りつつある自信もあった。しかし、層の厚い投手陣に割り込むためのアピールが足りず、開幕から2軍生活が続いている。

4月10日のソフトバンク戦（タマスタ筑後）では4回途中9安打6失点と苦しんだ。鈴木は「みやざきフェニックスリーグでも真っすぐに力強さがついてきていたが、試合になるとまだ染みついているものがあった」と振り返る。新天地で変わるつもりだったが、変われない自分に気付かされた。

「どん底に落ちていましたから、変えなきゃ仕方がなかった」と思い切って投球スタイルを変えた鈴木。「どんどん攻めていっています。たとえ四球を出しても、ヒットを打たれても、しっかり腕を振って投げることができていれば、次につながります」と前向きに取り組み、その後の3試合で無失点。防御率を7.11から2.11に改善した。

5月4日のウエスタン・リーグ広島戦（くら寿司スタジアム）では、先発して6回を75球、2安打無失点で2勝目を挙げた。5三振を奪い「あまり三振を取るイメージはしないが、左打者へのインサイドへのカットボールで三振が取れた」と手応えを感じている。

今季は2軍戦7試合に登板して2勝2敗、防御率3.00の成績を残している鈴木。「180度、投球スタイルは変わりました。無理矢理、変えているし、変えなきゃダメだと思っています」と語る。

中日時代の3年目（2020年）終盤には投球フォームをサイドスローに変えたこともあったが、「あの時はどん底に落ちていたから、変えなきゃ仕方がなかった。今はフォームではなく、スタイルを変えているだけ。レベルアップしている感じです」と語る鈴木。新たな舞台で先発、中継ぎ、抑えの貴重な経験を活かす日は近いと期待されている。

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